最新のアメリカの不動産仲介業のトレンドについて【不動産テック】

既存住宅の流通量の対比

※2019年6月3日更新

まず初めに、既存住宅流通量の日本と米国の対比を見ていきたいと思います。
※出展:一般社団法人不動産流通経営協会

こちらは、一般社団法人不動産流通経営協会(FRK)がまとめている資料ですが、
FRKによると日本の既存住宅(中古)流通比率は38.2%と2008年の28.6%と比較すると10%も伸びてきています。
日本においても既存住宅(中古)流通に注目が集まっており、今後は既存住宅の流通がメインになっていくと考えられています。 

日本において、既存住宅(中古)流通が伸びてきている状態ではありますが、海外と比較するとどうか皆様はご存じでしょうか。

欧米の既存住宅流通量

実は、人口が3億人のアメリカは日本の6倍以上、既存住宅の流通が進んでいます。
人口が6千万人のイギリスやフランスと比較しても日本はまだまだ既存住宅の流通は進んでいないことがわかります。


本日は先行するアメリカの不動産仲介業のトレンドを見ることで、今後既存住宅の流通がメインになっていくと考えられている日本でも起こりえる不動産仲介業の傾向を考えていこうと思います。

アメリカのトレンド「HomeEstimate」

アメリカでは、「HomeEstimate」が主流になっています。
読んで字のごとく、Home(家)でEstimate(査定)ができるということです。
要は「ググれば自分の家の価格がわかる」という状態なのです。


皆様はZillowというアメリカの不動産ポータルサイトをご存知でしょうか。
Zillowは日本でいう、SUUMOの役割を果たしていて、家を買いたいと思った時に、物件情報が集まっているWEBサイトです。


日本のSUUMOは買いたい人にとっての物件情報は整っていますが、
売りたい人が自分の家の価格がわかるサービスは展開されていません。


しかし、Zillowでは「Zestimate」というサービスが展開されており、
検索窓に自分の物件の住所を入力すると、独自の価格査定アルゴリズムから、価格を導き出してくれます。

(Zillowのサイト:How Much is My Home Worth? Check Your Zestimate | Zillow) 

今では月間のUU数がアメリカの世帯数と同じだと言われており、
定期的にほぼアメリカの全員が自分の自宅の価格をチェックしているということになります。

Zillowについて

Zillowは2006年に航空券・宿泊予約大手エクスペディアの創業者によってシアトルで設立されました。

設立メンバーには、マイクロソフト・アマゾンなどのIT企業進出者が数多く参加しています。
本業は上記の通り、住宅の売却や賃貸情報を掲載するサイトの運営でこの部分は日本のSUUMOと同じで、
ビジネスモデルとしても、主な収益源は仲介事業者からの広告収入となります。


SUUMOと異なる部分として、Zillowは当初から登記情報や自治体の統計データを基に全
米の住宅価格を推定したZestimateを無料で公開してます。
(上記の画像参照)サイトではZestimateによる価格の推移や過去の売買記録も公開されており、
利用者は物件の売り時や買い時を自ら判断することが容易となっています。


2009年には住宅の売買だけではなく賃貸物件の取り扱いを開始し、同時に賃料の推定価格も公表しています。
2011年に利用者が月間2400万人まで達し、新興市場ナスダックに上場しています。


Zillowの価格や賃料は独自の算定式を基に算出した値で、
算定式は住宅価格を立地、物件特性、取引時期など様々な属性の価値による集合体ととらえて、重回帰分析によって各属性の支払い意思額を推定するヘドニック・アプローチと呼ばれる手法が用いられています。


2006年Zillowが初めて4300万件の住宅価格を推定した際は毎月3万4000通りの算定式が試され、実際の取引価格との差(中央値)は14%程度でした。しかし、現在では分析に用いるデータを大量投下することで、1憶1000万件の住宅価格を推定しています。現在では、誤差を5%未満まで縮小することに成功したと言われています。
  
要はZillowは独自のAI査定を開発し、アメリカの全世帯が定期的に自分の自宅の価格をチェックする文化を生み出したのです。

販売中の物件情報だけでなく、過去の取引事例までもが閲覧可能になっています。

Zillowの物件情報はZestimateの価格まで表記

それぞれの物件に、Zillowが独自のAI査定により価格を出しています。

これによって、言うまでもなく、アメリカに住む人たちは自分の家の買い時、売り時を自分自身で判断することができるようになっているのです。

前述の通り、アメリカでは家を売る際にも買う際にも、価格が家にいてわかる状態です。「ググれば家の価格がわかるHomeEstimate」が主流になったアメリカにおいては、不動産仲介会社にも大きな影響が出てきました。

仲介手数料を安くするディスカウント型のデジタル仲介と、家を高く売れること・安く買えることを訴求した市場アウトパフォーム型の不動産仲介の二極化が出てきました。

仲介手数料を安くするディスカウント型の不動産仲介としては、Redfinが有名です。
(Redfinのサイト:https://www.redfin.com/)他にも、exp Realty等がデジタル仲介に分類されます。

アメリカのデジタル仲介について

デジタル仲介のビジネスモデルはアメリカに古くから存在するディスカウント仲介を現代風にアレンジしています。

仲介業務のプロセスを内見、申込、契約と細分化し、能力のある仲介営業マンを現場業務に専念させることで、
人件費の配分を最大限に効率化するモデルを主流としています。

デジタル仲介では、営業マンの営業プロセスを「見える化」するクラウドソフトウェアやモバイルアプリの徹底的な活用も
特徴的です。


従来の分業体制によって仲介手数料を削減するディスカウント仲介は、経験の浅い若手の営業マンを固定給で大量に雇用するため、サービス水準はそれほど高くなく、お客様からは支持されず、大きく成長して来ていませんでした。

しかし、デジタル仲介ではITツールによって営業マン間のサービス水準のばらつきを防ぐと共に、浮いたコストを有能な人材の採用に投資することで、従来のディスカウント仲介のイメージと一線を画す評判を築いてきました。

アメリカではただのディスカウント仲介で終わるのではなく、デジタルを活用したディスカウント仲介であるということです。

Redfinについて

デジタル仲介分野において先行しているのが、2002年創業のRedfinです。

同社はZillowと同じくシアトルでIT技術者たちが創業しています。
Zillowと同様ポータルサイトを運営し、サイト上で物件の価格査定サービスを提供している点も共通しています。
しかし、前述の通り、Redfinは自社で仲介免許を持つブローカーとなって現場にエージェントを配置し、
売買手続きを提供している点でZillowとは異なります。

同社のRedfin Estimateは、自社の不動産営業マンが取引した不動産売買情報を活用して
全米4000万件を対象に独自に住宅価格を推定するサービスも展開しています。


価格推定と実際の取引価格との誤差の中央値は全米で1.9%と公表しており、
Zillowよりも精度の高い住宅価格情報を提供していると主張しています。
ここでもバチバチのAI査定の争いが不動産テック企業によって起きています。


アメリカでは買主が仲介手数料を負担せず、売主が自分と相手の仲介手数料を合わせ、
6%程度を負担するのが一般的ですが、Redfinは仲介手数料を1.5%にとどめることで、
売主の負担を合計4.5%に抑えられるとアピールしている点が、先のディスカウント型のデジタル仲介と言われる所以です。
先進的なイメージも武器に営業地域を全米に拡大させ、2017年にナスダックに上場しています。


報酬体系がユニークで、獲得した仲介手数料に基づいて支払われるのではなく、顧客がつけた評価に基づいて支払われる仕組みとなっている点が特筆すべきポイントです。この仕組みにより、不動産営業マンは物件価格を釣り上げるのではなく、買主の意思を十分に配慮して行動するように動機づけがなされています。

市場アウトパフォーム型の不動産仲介について

上記のような、ディスカウント型の仲介ではなく、家を売る際は市場よりも高く売れる人、家を買う際は市場よりも安い物件を紹介してくれる人に任せたいというニーズもp出てきます。

そうした顧客に刺さるサービスを展開しているのが、不動産エージェント(担当者)検索サービスを展開しているHomeLigetです。
(HomeLigetのサイト:https://www.homelight.com/)

HomeLightは自分の売りたい物件、もしくは買いたい物件の概要を入れ、
お問い合わせをすると、コールスタッフにつながり、自分の要望に合うエージェント(担当者)を提案してくれるという流れです。


ユニコーン入りが確実視されている不動産テック企業で、過去のエージェントの実績から
市場よりも高く売れる、安く買えるエージェントが見つけてこれることを訴求していることで、カスタマーからの支持を受けています。

こうした形で、HomeEstimateが進んだ米国では仲介手数料を安くするディスカウント型のデジタル仲介と、家を高く売れること・安く買えることを訴求した市場アウトパフォーム型の不動産仲介の二極化となりました。

HomeEstimate」により、新たに生まれたi-Buyer

更に、中価格帯の住宅では、AIなどの技術を使い住宅を大量に査定、
購入して転売するスタートアップが誕生し、今まさに急成長をしています。


i-Buyerというビジネスモデルです。
2014年にサンフランシスコで創業したOpendoorが先駆者と言われています。

Opendoorについて

(Opendoorのサイト:https://www.opendoor.com/)

同社は、創業後わずか2年間で3億ドルの資金を調達し、
2018年にはソフトバンクからの4億ドルの出資と金融機関からの巨額融資の受け入れを公表して注目を集めています。


i-Buyerが注目を集める理由が、買い取り再販という事業モデルのリスクを、
テクノロジーによって最小化しようと試みていることです。


家を売りたいお客様が住宅の見積もりをWEB上でOpendoorに依頼すると、
周辺の類似物件の取引事例や自治体の課税評価額を基に機械的に推定した買取価格を提示してくれます。


早ければ依頼したその日のうちにホームインスペクターと呼ばれる査定員が自宅を訪れ、
住宅の状態を目視調査してモバイルアプリで査定額を修正し、その場で納得する価格であれば、3日以内に決済可能という、
早く・手間なく・買うことを訴求したサービスです。


アメリカの協会の調査によれば、物件を売る際の不満の上位として、
「多くの内見対応に必要以上に時間を奪われた」
「売り出し価格を高く設定し過ぎ、売却に長期間を要してしまった」
「最終的に書いての住宅ローンがつかずに売買がキャンセルとなった」などが挙げられています。

(これは日本でも同様です)

そもそも家を売りたい人はできるだけ高く、なるべく早く売りたいという2つの希望を持っていますが、
この希望はトレードオフの関係にあります。


家を売る際の多大なストレスと時間は、不動産にまつわるユーザー体験の中でも最も放置されてきたポイントですので、
テクノロジーによる改善余地は大きいとみるアメリカのベンチャーキャピタルは多いのです。

特に、急な転勤や離婚、住居の購入代金決済など、必要に迫られて自宅を売却する人は多く、
Opendoorは相場より少し安くしても、時間や手間をかけたくないこうした売り手の需要を捉えています。

Opendoorは買い取った住宅を必要に応じて回収した後、平均20日間で売却し、
買い取り価格と売却価格の差分を利益として得ています。
他にも2015年に創業したOfferpad、knockなどが、i-Buyerを展開しています。


一方で従来の不動産業界にも、安く買いたたいて多少リフォームを施し、高く売るといった再販ビジネスを手掛ける業者は少なからず存在してきました。

買取業者とi-Buyerの違い

従来の買い取り再販業者は、離婚や失業、住宅ローンの支払い遅延や自己破産など経済的に困窮した人が所有する物件を安く買いたたくことに注力してきていました。

そのため、多くの業者は相場の70%程度で買い取り、数%をリフォームに費やしたうえで早期に販売して利益を上げています。

一方、Opendoorなどのi-Buyerは相場の90%以上で買取を実施することを掲げており、通常の住宅売買で発生する仲介手数料を差し引いてもi-Buyerに売却することがメリットになるとアピールしています。

ある程度相場と同等の価格で買うためにi-Buyer各社が力を入れているのが、エリアの選別です。i-Buyerが参入している地域は、比較的近年、大量に中価格帯の住宅が供給されたラスベガス、フェニックス、ダラス、アトランタといったサンベルト(20世紀後半に人口増加した米国南部)に集中しています。

こうしたサービスは近年注目を浴びており、前述のZillowは2018年からInstant Offers programというサービス名で買い取り再販に参入し、Redfinも住宅買取サービスRsdfin Nowを開始しています。

そして、なんとなんとHomeLightまでもがi-Buyer検索サービスを展開しているのです。

このようにアメリカでは、不動産テック企業によるデジタルの活用により、
新たな不動産仲介業やi-Buyerといった画期的なサービスが生まれてきています。

日本の不動産テック企業の現状

日本でも2015年以降、不動産テック謳い、独自技術を活用した「価格査定サービス」が10以上続々と登場してます。

三井不動リアリティの「Smart Analyzer for Owners」
https://www.rehouse.co.jp/smartanalyzer/

ロードスターキャピタルの「AI-Checker」
https://www.ai-checker.com/

マーキュリーの「マンションバリュー」
https://mansionvalue.jp/

リーウェイズの「Gate.」
https://www.lp2.gate.estate/

ソニー不動産の「不動産価格推定エンジン」
https://sony-fudosan.com/tech/ret1.html

HOME’Sの「プライスマップ」
https://www.homes.co.jp/price-map/

プロパティエージェントの「ふじたろう」
https://www.fujitaro.com/

マンションリサーチの「全国マンション価格丸わかりマップ」
https://t23m-navi.jp/maps

コラビットの「Howma」
https://www.how-ma.com/

リブセンスの「IESHiL」
https://www.ieshil.com/

マンションマーケットの「マンションマーケット」
https://mansion-market.com/

イタンジの「VALUE」
https://value.heyazine.com/

おたにの「GEEO」
https://geeo.otani.co/

等沢山出てきています。

どうなる日本の不動産仲介業

長らく日本の不動産業界の「旧弊」と言われていた数々の課題が不動産テック企業によって変革されていくのではないでしょうか。

日本独自の不動産業界の特性であった、「不動産情報を業者が独占していた」ことに関してはネット上で相場情報を見える化する企業が生まれてきていたり、周辺環境や業者の第三者評価を提供する企業も出てきています。

また、日本では仲介手数料が法定上限額で固定されていた部分も、仲介手数料を定額にする業者や売主側は無料にする動きも出始めています。私たちのように、市場アウトパフォーム型の不動産仲介を提供するサービスも生まれてきています。

両手取引の囲い込みの排除についても、リフォームの工事代金が不透明である部分も、不動産テック企業により、変革し始めているといわれています。

今後は、既存住宅流通量が増えていくことが予想されていますので、国の政策なども変わっていき、
どんどんと消費者にとって良い環境が整備されていくのではないでしょうか。


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